分類:ファミ通が龍が如くスタジオ代表・横山昌義氏とプロデューサー・山田理一郎氏に行ったインタビューを整理した記事です。
2024年12月20日公開のファミ通インタビューで、横山昌義氏と山田理一郎氏は New VIRTUA FIGHTER Project が何を目指すのかを語りました。
取材は The Game Awards 2024 での発表と、続く VF Direct 2024 の直後に行われています(関連記事)。
この時点では正式名称は未発表で、New VIRTUA FIGHTER Project という名称のみで紹介されていました。
プロジェクトはどのように動き始めたのか
横山氏は、VF開発チームが第1事業部に残り VF esports などを手がけつつ、基礎研究と並行して続編企画を何度も検討してきたと説明しました。
ただし「いまのゲームファンに納得してもらえる企画」を作るのが難しく、発表まで時間がかかったといいます。
山田氏も、VFはセガのトップIPのひとつで社内の熱意はあったが、いまのマーケットに合う形を組むのに長くかかったと述べています。
セガ経営層もレガシーIP再定義の議論の中で、VF新作の形を検討し続けていたと横山氏は明かしました。
開発内部でも正統進化を望む声と、まったく新しい復活を考える声が分かれ、その状態でプロジェクトが横山氏に託されたといいます。
単なる格闘ゲームの延長線だけでは世界で勝負しにくいと考え、イノベーションの歴史に「少し先の未来」を入れられる企画屋として山田氏を思い浮かべたと説明しています。
セガを離れていた山田氏を呼び戻した初日に「VFをやってくれ」と頼み、山田氏は最初「無理だろう」と思ったものの、その後およそ3ヵ月でプロジェクトが立ち上がったと振り返っています。
核は「革新」と「リアリティー」
山田氏は、『鉄拳』や『ストリートファイター』と同じベクトルだけで追いつけるのか疑問があったと語りました。
VFは対戦格闘をベースにしつつも、「対戦格闘という枠だけに収まらず、多くの人に遊んでもらえるもの」を目標に据えたと説明しています。
シリーズが守ってきた核を「イノベーティブであること」だと整理し、その言葉に縛られていたからこそナンバリング続編を出しにくかったとも述べました。
同時に「リアリティー」も重要だとし、初代発売当時のカンフー映画人気と結びつき、飛び道具のない近接戦につながったと説明しました。
間合いを詰める緊張感や読み合いは他作品との違いだが、コンセプトとしての二つの核をどう入れるかが企画の出発点だったといいます。
横山氏はVFの印象を「地味でストイックなバトル映像」としつつ、生身の殴り合いの絵がリアルな物語と合いやすいと見ました。
「桐生一馬が波動拳を撃ったらファンタジーだが、鉄山靠ならリアルなドラマを描ける」という比喩も示しています。
龍が如くスタジオが積み上げてきたドラマ性・演出・街ごと作る力をVFに融合させ、新しい形を作るという方向も語られました。

対戦格闘の枠を超える改革
山田氏は根本では「VFは難しいゲームではない」としつつ、基本操作そのものより、基本的な戦い方に至るまでの導線が分かりにくい点が問題だと指摘しました。
「何をしていいかわからない」という入口のハードルは下げたいと述べています。
シリーズのいちばん弱い点としてキャラクター性を挙げ、「なぜ戦っているのか」がゲーム中でほとんど語られていないと認めました。
その改善のため、物語やストーリーモードに相当する要素を検討しているとも明かしています。
横山氏は、派手な必殺技で見せる楽しさをプロレス的なエンタメに近づけて捉え、VFが目指すべき楽しさはK-1に近いと説明しました。
地味でガチな試合はそのままに、ファイターが試合に至るまでの過程や背景を足して魅力を高める、という趣旨です。
ルール変更や画面を派手にすることではなく、「地味でガチの試合の魅力をより増幅させる」ことが自身の役割だと述べました。
山田氏の側は、技やルールなどゲームそのもののおもしろさを掘る役割だと分けて説明しています。
家庭用(コンシューマー/PC含む)展開を前提とし、キャラクターや物語面はアーケード中心だった過去作とは異なるものになると述べました。
龍が如くスタジオのドラマ性や技術は使いながらも、体験は『龍が如く』シリーズとも異なるイノベーティブなものにすると付け加えています。
ゲームボリュームは大きくなり、その中にVF本来の対戦格闘が含まれるイメージだと説明しました。
アーケード版は「いまのところ考えていない」とし、同品質を現行基板で動かすハードルの高さを理由に挙げています。
龍が如くスタジオで作る強み
山田氏は、スタジオのいちばん大きな強みとして街づくりや、確固たる世界が存在しているように構築する力を挙げました。
横山氏も、文化や生活を描く背景がキャラクターの臨場感を高めると述べています。
山田氏によると、ティザー映像は企画の説得力を出すためにスタッフへ依頼し、およそ1ヵ月で仕上がったといい、その速度とクオリティーが自信になったそうです。
同時期に Project Century(PJ Century)の映像も発表されており、両プロジェクトは別々のゲームエンジンで制作している、と短く触れられています。
操作・リングアウト・世界観・キャラクターQ&A
山田氏は、操作で最優先すべきなのは「簡単な操作にする」ことだと述べました。
必ずしもパンチ・キック・ガードの3ボタンでなければならない理由はないとしつつ、やり込んできたファンも踏まえた操作にしたいとしています。
家庭用ではパッド最適化も必要で、最終的には好みの操作系で遊べる形になるだろうと見ています。
リングアウトはなくならないと考えており、あるステージ・ないステージ・特定条件でリングアウトになるステージが混在するイメージだと説明しました。
シチュエーションのあるバトルでは別のケースになる可能性があり、ティザームービーもそれを踏まえた映像だといいます。
設定は過去作品と地続きで、新作を遊ぶことで従来だけではわからなかった部分が明らかになる予定だと述べました。
ティザーの舞台は日本ではない場所で、時代設定は秘密だとしました。
ティザーの男性は結城晶の新デザインで、いっしょにいた女性はサラではなくステラだと確認しています。
詳細はまだ伝えられないが、シリーズファンと初見の双方が楽しめる作りにし、プレイすれば自然にわかるようにすると付け加えました。
キャラクターは新旧混在になりそうで、シーズンパスの有無も含め詳細はまったく決まっていないと述べました。
リリース時期も現段階ではまったく言えず、スクラップ&ビルドをくり返す開発ハードルの高いものだが、何年も作り続けるつもりはないとしています。

Legacy バーチャファイタープロジェクト
新作がより広い層向けである一方、発売までコアファンが熱量を持ってプレイできるよう Legacy バーチャファイタープロジェクトを並行すると説明しました。
進行は青木盛治氏が担当しているといいます。
公式世界大会 Virtua Fighter Open Championship を実施し、そのために Steam版 Virtua Fighter 5 R.E.V.O. を開発したと述べました。
Steam版のみとした理由は、PCがもっともソリッドな対戦環境を作れ、ロールバックネットコードにも対応しやすい点だと説明しています。
グローバル公式Discordは日本語と英語のサーバーを立て、コミュニティマネージャーとともに交流・大会情報・意見収集の場とし、信頼関係の再構築にも使う考えだとしました。
ただしもっとも注力すべきは新作である、という点もあわせて述べています。
中途半端なものは出さない
山田氏はプロジェクトを進めるなかで鈴木裕氏に面会し、コンセプトを説明したところ「俺も昔考えていたようなことだね」と言われ、映像も「これはいいね」と評価されたと伝えています。
横山氏は、VFはセガの歴史に刻まれたIPだから中途半端なものを作る気はなく、そうなるくらいなら途中でプロジェクトを止める覚悟だと述べました。
山田氏は「ゲームからゲームを作らない」、つまりいままでにないものを作るという考えかたを大事にしたいと付け加えています。
このインタビューで確認されなかったこと
正式名称、発売日、対応機種一覧、具体的なシステム名称はこのインタビューでは確定していません。
シーズンパスの形、時代設定、ステラの詳細、ストーリーモードの分量や試合ルールの細部も未公開・未定のままです。
その後のTGS 2025開発陣インタビューでは、リアリティの考え方や新バトル要素がより具体的に語られます(関連記事)。
本稿にはファミ通インタビューで確認できる発言のみを反映しました。
原文と公式映像
